千葉県 住宅[コートハウス]

Home | Works | I/h

IKHコンセプト
敷地はしごく一般的な、小区画に区画された中に建売住宅が建ぺい率の最大化が唯一の使命のような顔をして建ち、その中に昔ながらの住宅が次の建て替えをまわりに促されているように肩身を狭くして建っているような日本のどこにでもあるような街並みの一角にある。昼間は安普請に着飾って建つその家々はしかし夜ともなると窓につけられたシャッターによって閉ざされ、街路灯が申し訳なさそうにその足元付近のみを照らすのみで、生活の断片は家の中からはみ出すことさえ許されず、街と家の良好的関係は形成されることなく暗闇だけが街を満たしていた。
生活が街に漏れ、具象的ではなくとも家の中の様子が外部に漏れ出し、家々が語り合うようにして建ち(立ち)親和性がうまれ、そして街と家々の良好な関係を形成したい、しかしプライバシーを確保した上で。ここで与えられた命題はそうした二律背反性を含んだ難題であったけれど、街の構成員としての家が負わなければならない今日的課題であることだけは明らかだった。
30坪強のそれほど大きくない家に「コート」「テラス」「サンルーム」を布置する。そして窓はそうしたヴァッファー(緩衝帯)に対してのみ開かれるというルールとした。一部のヴァッファーを介さない窓であっても、内部空間において折り上げ天井部などに窓を配置することで、内部から直接的に窓を正対する状況が発現しないことを目指した。当該ルールの厳格化によって外の光はヴァッファーを経由して取り込まれることとなり、反射光を含んだ安定した光の取り込みとなり、時間に依る多様な光空間が生まれ、また室環境の向上に寄与するという結果に繋がることとなった。そしてヴァッファーを介して家と街が繋がることで家は街に語りかけ、内部においては「開きながらも守られている安心感」を生むこととなった。
 
「家」からささやきが漏れてくる。あるいは小さな子供の泣き声に親が子を叱る声が混じる。けれどどれもが愛おしい。食卓の様子が直接見えないけれど目に浮かび、自らも家路を急ぐ。家の明かりがそして迎え、背後に柔らかな影を落としている。
IKHダイニング
IKH外観1
IKH外観2
IKHリビング
IKHコートへの視線
IKH外コート
IKH階段1
IKH階段2
IKHファミリーコーナー