喜の字を前にその陶芸家は、新たな活動の場を沖縄石垣島に求めた。
「遠景に川平湾を望む開放的な領域と、山々に囲まれ小川のせせらぎの聞える静的な領域の所在」、敷地についての感想を求められてそう答えた僕にひとつ頷いて、テーブルの上に落ちた影を指でなぞりその道筋を目で追った後、唐突に「闇」の話しを始めた。影について話し、光を語っていることを理解した僕は、少しあわててその光の道が風の道にもなることを付け加えた。
アトリエと店舗を分棟として構成する。両者の空間体験は近似的、そして差異的空間の性格をより顕在化させる。また結果生まれる「地」の部分は接続詞的に両棟を強調しつつ、陰影と奥行きと様々な「場」を与えるだろう。
背景の山々にシルエットとして参加する2棟は少し似ていて少し違う。
老人の今は亡き弟へのオマージュでもある。