ここで、「場」を形成するためのツールを『リボン(Ribbon)』と仮に呼んでみる。
リボンは境界を形成し、地形の形質を生み、風景を切り取る。
抽象化された形態ゆえに、リボンにより形成された「場」はそれを読み取る個々人のイメージに委ねられる。美術作品の背景として存在することはもちろん、そこでの活動イメージを誘発する舞台にも、そのきっかけにもなる。リボンの持つ単一でシンプルなシステムにより、多様な空間を現出させることがここでのテーマとなる。
リボンで形成される「場」は流動性を有する。
カタチも規模も、必要に応じてプログラムの可変に対しても追従し呼応する。
リボンの端をつまみ、引き延ばしあるいは曲げることで生まれる空間が、強い自己主張をすることなく、ただし深く記憶に残る体験として刻まれていくことがリボンを空間形成のツールとして使用することの主目的となる。